2013年8月17日 フェリーで小樽に降り立った私。日本縦断中のGt手羽先さんと合流した。
写真の男だ。
自らが枚方のシューマッハであると名乗った後、呆気にとられた僕に向かって彼は続けざまに言った。"ご安心下さい。北海道は既に私の庭です。"
案の定、枚方のシューマッハはミハエルばりのドライビングテクニックでどんどん小さくなっていった。ジョークにしか聞こえないような事でも有言実行に移すシューマッハさん。取りあえず彼の発言はどんな奇想天外な事でも一旦鵜呑みにすべきだ。そう僕は心に誓った。そんな彼を追いかける原付免許取得間も無いワタクシ。どんどん小さくなるシューマッハについていくのがやっとで、ここが北海道である事、北の大地を踏みしめる余裕、などは一切与えてはくれなかった。”呑気に景色を楽しんでたりしたら喰われますから。死にますから。時間や世間に世界に”とでも背中で語っていたかのようなシューマッハの背中を追いかけ雨のデスロードを進み到着した先は
その名も、”ライダーハウス小樽”
その名前が発する神々しいまでの昭和レトロ感とは裏腹に、ハウスは活気に満ちあふれていた。聞く所によると今年(2013年)オープンしたニューカマーらしい。
小樽に新風を巻き起こしている…かどうかまで私は知らない。
到着した玄関先にて”バイクはそこに留めておくといいからネー”と、半裸のおやっさんが目の前に現れた。そのおやっさんこそが、ここライダーハウスおたるの主であった。部屋に入ると、主のおやっさんと盃を交わした同じ様に”できあがった”おやっさん達。部屋の真ん中にビニールシートが拡げられその上に雑多と並んだ北海道的酒の肴。完成形のおやっさんさんたちと旨い酒と上手いアテをつつきながらダラダラ喋るという素敵すぎる空間だったが、西成の集会と言われても違和感はなかった。後で聞いた話によると僕らが居た部屋の上に”普通の人達”が泊まる部屋があるとの事だった。そういえば翌朝起きるとごくごく真面目そうな旅人とたくさんすれ違った。おやっさんの裁量で部屋分けされていたらしい。いつのまにか、線引きを受けて僕達は”普通の人達”とは別のカテゴリに分けられていたのだった。臨むところではあった。
ライダーハウスという施設は基本的にバイカー及び自転車の旅人(チャリダーとも言う。)にのみ宿泊を許す簡易宿泊施設を指すらしい。徒歩の旅人や、サークルで遠征している学生さんが利用している施設もあったので多少は融通が効くのかもしれない。一泊平均1500円程度。基本的に相部屋で寝袋と銀マットを持ち込むスタイルなので、生きた情報交換がとても捗る。
…シューマッハさんはというとカバンからイカ等の魚介類を取り出していた。どうやらおつかいを頼まれていたらしい。そのコミュニティに溶け込む力は何処から沸いてくるのか私にとって謎でしかなかった。原付日本一周はダテでは無かった。
シュー君はその魚介類達を捌きに台所へ。自己紹介もそこそこに宴会の続きが始まった。出会ったばかりの大人達が和気あいあいとまるで修学旅行。道中自慢に始まり旅の事人生観の事。娑婆のことなどを口にするのは酔狂ですよ。という雰囲気。何もかもが素敵で、バイク旅とはこの様に最高なものなのか。私の知らない世界。来て良かった。と噛みしめていた僕をよそに、シュー君は大阪を発ってからまともな屋根のある所で寝るのが初めてである事をひたすら強調していた。原付日本一周はダテでは無かった。よく見るとメガネがガムテープで修復してあった。…ダテじゃなかった…
そしてビニールシートの上に並べられたごちそうを私も頂く。
自転車で旅する小粋なおやっさん。バイクで旅するええ歳してカッコつけたおやっさん。人生の、旅の先輩方にオモロイ話をたくさん聞かせて頂きました。
奥の裸の親父がオーナーさん。僕にとっての第一北海道人
素晴らしい人達に囲まれ色々ごちそうを頂く。
ライダーハウスがこんなに面白い場所やとは思いませんで
大人の修学旅行。学生のそれと違うのは、皆疲れ切ってい
ご馳走を頂いたお礼の気持ち、出会いへの感謝の気持ちを胸に、即席ライブをやらせてもらった。
音楽で更に打ち解ける。
おおげさでもなんでもなくその場に居た人達の心をがっしり繋いだ気がした。
年齢も職業も人となりも全部垣根を取っ払って、”旅をしている”
その一点だけが同じで人々が平行線上に並んでいた。
酒と音楽と北海道の味に舌鼓を打ち夜は更けていく。
What A Wonderful World
朝目覚めるともう既に何人かは旅立った後だった。この潔さがまた気持ちいい。出会いと別れ。ライダーハウスのおやっさんには帰阪する際、もう一度必ず寄って挨拶して帰ります。と伝えて私と手羽先さんは道東目指して出発した。
つづく。
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